【昔と今】手紙文(候文)

 はがきについて、サイズを調べるため「ヤフオク」で入手したハガキを見てびっくりしたことがあります。

 それは、終戦直前の昭和19年でも、改まった通信文は「候(そうろう)文」だったということです。私は昭和2年生まれですが残念ながら候文で手紙を書いた経験がありません。

 候文の解説書を読むと「江戸時代は……」とありますが、実態は終戦の昭和20年過ぎまで、使われていたことが判りました。

 「候」という字は手紙の中で多用されるので、「くずし字辞典」からかりて掲載しましたが、 文末で「ヽ」なのも「候」です。
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 ご覧ください「昭和19年4月19日付の応召挨拶文」です。

 注)「応召」とは「召集令状」に応じて軍隊に入隊すること.当時は「出征兵士を送る」という表現で「送別式」を街頭で行いました。
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 「奉慶賀候(けいがたてまつりそうろう)」「御礼申上候(おんれいもうしあげそうろう)」「陳者(のぶれば)」「可致候處(いたすべきそうろうところ)」「覚悟に御座候間(かくごにござそうろうあいだ)」「御願申上候(おねがいもうしあげそうろう)」「老境に入り候感も有之候に付(ろうきょうにいりそうろうかんもこれありそうろうにつき)」「宜敷(よろしく)御願申上候」。

 次のは昭和19年10月31日付けの消息文です。
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 「大賀候(たいがにそうろう)」「陳者(のぶれば)」「不申(もうさず)」「無之候(これなくそうろう)」「お届け可致様(おとどけいたすべきよう)」「帰名致し候も(きめいいたしそうろうも)(帰名=名古屋へ帰る)」「立寄り不申(たちよりもうさず)」「可申(もうすべく)」「願上候(ねがいあげそうろう)」「返品申候間(へんぴんもうしそうろうあいだ)」「御願申上候(おねがいもうしあげそうろう)」……当時は「ゲートル」の貸し借りなどがあったようです。
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 次のも昭和19年4月1日付けの「疎開のため移転/開店の案内」商用文です。
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 「奉存候(ぞんじたてまつりそうろう)」「辱うし候処(かたじけのうしそうろうところ)」「申候處(もうしそうろうところ)」「相成候(あいなりそうろう)」「奉懇願候(こんがんたてまつりそうろう)」「如斯御座候(かくのごとくござそうろう)」

 次のは落書きがあって不明瞭ですが昭和17年6月と思われる保険会社の商用文です。
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 まるで漢文ですね。「難有(ありがたく)」「陳者(のぶれば)」「可相成(あいなるべく)」「可致(いたすべく)」「候間(そうろうあいだ)」「乍御手数(おてすうながら)」「御取計置被下度願上候(おとりはからいおきくだされたくねがいあげそうろう)」。

 家族友人間の消息文などは、殆ど口語文ですが、商用文は殆ど候文だという事がわかり、今更ながらビックリしております。2000円の投資は色んな収穫がありました。

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