【昔と今】伝染病→感染症

 私達の子供時代には「感染症」といわないで「伝染病」と云っていました。

 調べて見ると、過去には「伝染病予防法」という法律があって、1998年(平成10年)10月2日に「感染症法」が制定されたことにより、1999年(平成11年)4月1日に廃止された。……とのことです。いや、意外と最近のことですね。

 注)現在、日本において「伝染病」の語は医学分野よりも「家畜伝染病予防法」など法令において限定的に用いられているそうです。

 この「伝染病予防法」で定義されていたのが「法定伝染病」あるいは「十種伝染病」といわれるものです。コレラ、赤痢(疫痢を含む)、腸チフス、パラチフス、痘瘡、発疹チフス、猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎およびペストの10種の急性伝染病。

 これに罹ったことが判ると「避病院(ひびょういん)」という「隔離病舎」に収容(強制入院)され、また住居や近隣へは役所から来て「消毒」作業がおこなわれました。噴霧消毒液は今と違って「乳白色」でした。死亡時の火葬の規定もあったようです。
消毒作業にん.jpg

 私の子供時分の経験では「疫痢」と「腸チフス」が近所で発生。小学1年生の時は「クラスの子」が1人亡くなりました。

 昭和13年だったかと思いますが、弟(当時3歳)が咳が出て高熱が続き、一時「ジフテリア」に罹ったのかと心配したことがありました。そうではなく「インフルエンザ」だったようですが……。

 戦後、昭和40年頃、会社の上司の紹介で、私の父が、未だ珍しかった「6日間の人間ドック」という「短期入院総合精密身体検査」の為入院したのが東京港区白金台にあった「東京大学伝染病研究所(略称:伝研)附属病院」でした。この「伝研」がいつの間にかTV新聞から消えて、代わりに「国立感染症研究所」なるものが現れるようになりました、しかも厚生労働省管轄のようです。

 調べて見ると、「東大伝染病研究所」から一部が分離しそれが変遷の末「国立感染症研究所(厚生労働省所管)」となったことが判りました。残った部分が「東京大学医科学研究所」として存続しています。

●国立感染症研究所ホームページ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/

 この「伝研」の発端は遠く明治25年に福沢諭吉が北里柴三郎のために建てた「私立伝染病研究所」で、これが「国立」になり、内務省管轄から文部省に移管されたとき、大正3年、所長の北里等が反対して辞職、別に「北里研究所」が設立されたという経過があるようです。

 子供心にも「避病院」の名は「おぞましく」感じていました。調べたところ、東京弁では避病院(ひびょういん)が「死病院(しびょういん)」になってしまい、紛らわしいことも一因で「避病院」の名が嫌われ、下記のように明治期に既に「避」の文字が消えていたのです。にもかかわらず昭和10年当時、私は「避病院」と聞いていました。こういう強い「印象」があったものは、俗称として長く語り継がれるものだと思いました。

明治10年:神戸の夢野村字東山に避病院を設置→明治33年:東山病院と改称。
明治12年:東京に避病院がいくつか設置される→明治19年:○○病院と改称。
明治19年:大阪に桃山避病院他3ヶ所に避病院を設置→明治29年:桃山病院と改称。

 コレラの大流行が「避病院設立」の大きな要因と思われます。

 明治16年(1883年)ロベルト・コッホがコレラ菌を発見……という時代でした。日本での最初のコレラ流行は文化年間、第2次が安政(江戸だけで死者10万~26万人)、第3次が文久(江戸だけで7万3千人の死者)。明治時代のコレラによる死者の総数は37万人。これは日清、日露戦争の死者の数を上回るものである。致死率が高いので恐れられた。現在でも、研究者らは、世界では、毎年、130万人から400万人のコレラ患者が発生し、21,000人から143,000人が死亡していると推定しています。(WHO:2017)。

 今は、日本ではほとんど見られませんが、それでもこんなニュースがあります:「昭和53年10月、船橋市の66歳の女性がコレラと診断された。3週間後にさらに1人のコレラ患者が発見されたが、それぞれ発病の三日前に東京台東区の文化センターで行なわれた結婚披露宴に出席したということがわかった。調査の結果、日本料理の折詰に使われていた輸入冷凍ロブスターに、コレラ菌と生態が同じ菌が発見され、このロブスターがコレラ菌に汚染されていた可能性が強いと断定された。」……オソロシイことです。
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 現在「感染症法」で定義されている感染症は、こんなに沢山あるのです。(平成26年11月21日改正、平成28年4月1日施行)
●一類感染症
感染力・重篤度・危険性が極めて高く、早急な届出が必要になる
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、天然痘(痘瘡)、南米出血熱、ペスト、ラッサ熱、マールブルグ熱

●二類感染症
感染力・重篤度・危険性が高く、早急な届出が必要になる
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS、コロナウイルスに限る)

●三類感染症
感染力・重篤度・危険性は高くは無いものの、集団発生を起こす可能性が高い為、早急な届出が必要になる
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)、腸チフス、パラチフス

●四類感染症
人同士の感染は無いが、動物・飲食物等を介して人に感染する為、早急な届出が必要になる
E型肝炎、ウエストナイル熱、A型肝炎、エキノコックス症、黄熱、オウム病、鳥インフルエンザ(H5N1は除外)等41種

●五類感染症
国家が感染症発生動向の調査を行い、国民・医療関係者・医療機関に必要な情報を提供・公開し、発生及び蔓延や伝染を防止する必要がある感染症
インフルエンザ(鳥及び新型インフルエンザ等感染症を除く)、ウイルス性肝炎(A型及びE型を除く)、後天性免疫不全症候群(HIV・エイズ)、風疹、麻疹、破傷風等41種

●新型インフルエンザ等感染症
新たに人から人に伝染する様になったウイルスを病原体にするインフルエンザ

●指定感染症
既知の感染症の中で、上記の1-3類に分類されない感染症で、1-3類に準じる対応が必要な感染症(新型インフルエンザ)

●新感染症
感染した人から他の人に伝染すると認められる疾病で、既知の感染症・症状等が明らかにそれまでの物とは異なり、その感染力と罹患した時の重篤性から判ずるに、極めて危険性が高い感染症
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 因みに、今回の「新型コロナウィルス」に関しては:令和2年1月28日 火曜日 官 報 (号外特第4号)で、「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令をここに公布する。」と「指定感染症」となりました。

 新型コロナウイルスは、感染症法に基づく「指定感染症」。感染者は症状の重さにかかわらず、ウイルスを外部に出さないように気圧を低くした病室などがある「指定医療機関」に入院する。……となっています。

 「オーバーシュート(爆発的患者急増)」になると、そのベッド数が足りなくなり、適切な医療が提供でき なくなることが懸念されます。

 かって経験したことのない「世界的パンデミック」。どのようになっていくのでしょう。

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